【賭ケグルイ双】スリーヒットダイスの期待値を計算!UUUとUUDの勝率は?

2025/02/13

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【賭ケグルイ双】スリーヒットダイスの期待値を計算!UUUとUUDの勝率は?

こんにちは!
エマ(SNSはこちら)です。

今回は、「賭ケグルイ双」に登場した「スリーヒットダイス」について、実際に計算して検証した記事です。

本記事は派生記事となっておりますので、
先に元記事をご覧いただくことをおすすめします!

スリーヒットダイスとは?ルールと特徴

基本ルール

スリーヒットダイスは、ディーラーが振るサイコロの出目を予想するギャンブルです。
出目は1, 2, 3をDown(D)4, 5, 6をUp(U)として扱います。
プレイヤーはUまたはDの3つの組み合わせを予想し、予想した組み合わせが先に出た方が勝ちとなります。

よくある疑問

作中では、「先に発生する確率」を考えたとき、UUUよりUUDの方が有利だと説明されています。
これは直感的には分かりにくいですが、実際に期待値を計算すると納得できます。

期待値計算の詳細

なぜUUUよりUUDの方が有利なのか?
前の記事では直感的な説明をしましたが、今回は期待値の計算を通してその理由を解説します。

期待値計算の方法とは?

期待値の計算を始めよう

スリーヒットダイスにおける期待値を計算してみましょう。
ここでは、計算に「行列」「無限級数の和」を使用します。

状態の設定

期待値を求めるには、まず「ちょうど●回目に的中する確率」を計算する必要があります。
そのために、以下の5つの状態を定義します。

定義する5つの状態

A: まだ的中せず、直近2回の出目がUU
B: まだ的中せず、直近2回の出目がUD
C: まだ的中せず、直近2回の出目がDU
D: まだ的中せず、直近2回の出目がDD
P: 予想値が的中

状態遷移の仕組み

予想が的中する状態Pを一旦無視すると、状態は確率1/2で遷移します。

予想値を考慮した遷移

例えば、UUUを予想していた場合、状態の遷移は以下のようになります。

状態遷移図
各状態は1/2の確率で次の状態へと移行します。

状態ごとの確率と行列表現

状態ごとの確率の定義

n回サイコロを振った時点で、それぞれの状態が発生する確率を以下のように定義します。
ここでは、$n \geqq 2$ とします。

確率の定義

a(n): n回目のサイコロ投擲時点で未的中かつ直近2回の出目がUUである確率
b(n): n回目のサイコロ投擲時点で未的中かつ直近2回の出目がUDである確率
c(n): n回目のサイコロ投擲時点で未的中かつ直近2回の出目がDUである確率
d(n): n回目のサイコロ投擲時点で未的中かつ直近2回の出目がDDである確率
p(n;予想値): n回目のサイコロ投擲時点で初めて予想値が的中する確率

初期条件

このとき、n=2の段階では以下のようになります。
$$a(2) = b(2) = c(2) = d(2) = 1/4 \\
p(2; 予想値) = 0$$ 

列ベクトルの定義

ここで、列ベクトル $\boldsymbol{x}(n; 予想値)$ を以下のように定義します。

$$
\boldsymbol{x}(n; 予想値) = \begin{bmatrix}
a(n) \\ b(n) \\ c(n) \\ d(n) \\ p(n; 予想値)
\end{bmatrix}
$$

状態遷移と確率の行列表現

例えば、予想値がUUUである場合、確率の関係は次のようになります。

$$
\begin{split}
a(n+1) &= c(n) / 2 \\
b(n+1) &= a(n) / 2 + c(n) / 2 \\
c(n+1) &= b(n) / 2 + d(n) / 2 \\
d(n+1) &= b(n) / 2 + d(n) / 2 \\
p(n+1; UUU) &= a(n) / 2
\end{split}
$$

これを行列 $\boldsymbol{A}(予想値)$ で表すと、例えば $\boldsymbol{A}(UUU)$ は以下のようになります。

$$
\boldsymbol{A}(UUU) = \begin{bmatrix}
0 & 0 & 1/2 & 0 & 0 \\
1/2 & 0 & 1/2 & 0 & 0 \\
0 & 1/2 & 0 & 1/2 & 0 & \\
0 & 1/2 & 0 & 1/2 & 0 & \\
1/2 & 0 & 0 & 0 & 0 \\
\end{bmatrix}
$$

行列の計算

こうすることで、次のように表現できます。
$$
\boldsymbol{x}(n+1; 予想値) = \boldsymbol{A}(予想値) \boldsymbol{x}(n;予想値)
$$ このとき、予想値の表記を省略し、$$
\boldsymbol{x}(n+1) = \boldsymbol{A} \boldsymbol{x}(n)
$$ とします。

試行回数が増えた場合

試行回数が増えて $n \to \infty$ となると、 $\boldsymbol{x}(n) \to \boldsymbol{0}$ になると考えられます。
これは、試行回数が増えると的中して終了する確率が高まり
「まだ成立していない」状態の確率は徐々に減少していくからです。

期待値の計算方法を詳しく解説

期待値の求め方

求める期待値の計算方法を整理しておきましょう。
「ちょうど $n$ 回目に予想が的中する確率 $ p(n)$」 を用いて、期待値は以下の式で表されます。

$$
\sum_{k=3}^{\infty} k p(k)
$$

これはすなわち、以下の式の5行目の成分を求めればよいことになります。

$$
\sum_{k=2}^{\infty} k \boldsymbol{x}(k)
$$

ただし $p(2) = 0$ なので影響はありません。
計算上の都合のため、式に加えて考えます。

無限級数の計算

そのままの和について

まず $\boldsymbol{x}(n)$ の総和について考えます。
以下のように定義します。

$$
\boldsymbol{S}(n) = \sum_{k=2}^{n} \boldsymbol{x}(k)
$$

ここで、$\boldsymbol{S}(n)$ は以下のように表されます。

$$
\boldsymbol{S}(n) =
\boldsymbol{x}(2) +
\boldsymbol{A}\boldsymbol{x}(2) +
\ldots +
\boldsymbol{A}^{n-2}\boldsymbol{x}(2)
$$

両辺に左から $\boldsymbol{A}$ を掛けると、次のようになります。

$$
\boldsymbol{A} \boldsymbol{S}(n) =
\boldsymbol{A}\boldsymbol{x}(2) +
\boldsymbol{A}^2\boldsymbol{x}(2) +
\ldots +
\boldsymbol{A}^{n-1}\boldsymbol{x}(2)
$$

両辺の引き算をすると、次のようになります。

$$
\begin{split}
(\boldsymbol{E} - \boldsymbol{A}) \boldsymbol{S}(n) &=
\boldsymbol{x}(2) -
\boldsymbol{A}^{n-1}\boldsymbol{x}(2) \\
&= \boldsymbol{x}(2) - \boldsymbol{x}(n+1)
\end{split}
$$

ここで $n \to \infty$ とすると、

$$
(\boldsymbol{E} - \boldsymbol{A}) \boldsymbol{S}(\infty) = \boldsymbol{x}(2)
$$

さらに、$(\boldsymbol{E} - \boldsymbol{A})$ に逆行列が存在すれば、

$$
\boldsymbol{S}(\infty) = (\boldsymbol{E} - \boldsymbol{A})^{-1} \boldsymbol{x}(2)
$$

と表せます。

回数を掛けた和について

続いて、 $n\boldsymbol{x}(n)$ の総和を考えます。

$$
\boldsymbol{T}(n) = \sum_{k=2}^{n} k \boldsymbol{x}(k)
$$

$\boldsymbol{T}(n)$ は次のように表されます。

$$
\boldsymbol{T}(n) =
2 \boldsymbol{x}(2) +
3 \boldsymbol{A}\boldsymbol{x}(2) +
\ldots
n \boldsymbol{A}^{n-2}\boldsymbol{x}(2)
$$

両辺に左から $\boldsymbol{A}$ を掛けると、次のようになります。

$$
\boldsymbol{A} \boldsymbol{T}(n) =
2 \boldsymbol{A}\boldsymbol{x}(2) +
3 \boldsymbol{A}^2\boldsymbol{x}(2) +
\ldots
n \boldsymbol{A}^{n-1}\boldsymbol{x}(2)
$$

両辺の引き算をすると、次のようになります。

$$
\begin{split}
(\boldsymbol{E} - \boldsymbol{A}) \boldsymbol{T}(n) &=
2 \boldsymbol{x}(2) +
\boldsymbol{A} \boldsymbol{x}(2) +
\boldsymbol{A}^2 \boldsymbol{x}(2) +
\ldots +
\boldsymbol{A}^{n-2}\boldsymbol{x}(2) -
n \boldsymbol{A}^{n-1}\boldsymbol{x}(2) \\
&= \boldsymbol{x}(2) + \boldsymbol{S}(n) -  n \boldsymbol{x}(n+1)
\end{split}
$$

ここで $n \to \infty$ とすると、

$$
(\boldsymbol{E} - \boldsymbol{A}) \boldsymbol{T}(\infty) = \boldsymbol{x}(2) + \boldsymbol{S}(\infty)
$$

さらに、$(\boldsymbol{E} - \boldsymbol{A})$ に逆行列が存在すれば、

$$
\begin{split}
\boldsymbol{T}(\infty) =
(\boldsymbol{E} - \boldsymbol{A})^{-1} \{\boldsymbol{x}(2) + \boldsymbol{S}(\infty) \}\end{split}
$$

これはさらに展開でき、

$$
\begin{split}
\boldsymbol{T}(\infty) =  (\boldsymbol{E} - \boldsymbol{A})^{-1} \{\boldsymbol{E} +  (\boldsymbol{E} - \boldsymbol{A})^{-1} \} \boldsymbol{x}(2)
\end{split}
$$

と表せます。

実際の期待値を求めてみよう

実際の期待値は $\boldsymbol{T}(\infty)$ の5行目の成分です。
実際に $\boldsymbol{A}$ の値を代入して計算してみましょう。

予想値が UUU の場合

$$
\boldsymbol{A} = \begin{bmatrix}
0 & 0 & 1/2 & 0 & 0 \\
1/2 & 0 & 1/2 & 0 & 0 \\
0 & 1/2 & 0 & 1/2 & 0 & \\
0 & 1/2 & 0 & 1/2 & 0 & \\
1/2 & 0 & 0 & 0 & 0 \\
\end{bmatrix}
$$

$$
\boldsymbol{T}(\infty) = \begin{bmatrix}
18 & 30 & 26 & 30 & 0 \\
26 & 48 & 40 & 46 & 0 \\
30 & 56 & 48 & 56 & 0 \\
30 & 56 & 48 & 56 & 0 \\
10 & 16 & 14 & 16 & 2
\end{bmatrix} \begin{bmatrix} 1/4 \\ 1/4 \\ 1/4 \\ 1/4 \\ 0 \end{bmatrix}
= \begin{bmatrix} 26 \\ 40 \\ 95/2 \\ 95/2 \\ 14 \end{bmatrix}
$$

計算の結果、期待値は14 となります。
つまり、UUU が的中するまでの試行回数の期待値は 14 です。

予想値が UUD の場合

$$
\boldsymbol{A} = \begin{bmatrix}
1/2 & 0 & 1/2 & 0 & 0 \\
0 & 0 & 1/2 & 0 & 0 \\
0 & 1/2 & 0 & 1/2 & 0 & \\
0 & 1/2 & 0 & 1/2 & 0 & \\
1/2 & 0 & 0 & 0 & 0 \\
\end{bmatrix}
$$

$$
\boldsymbol{T}(\infty) = \begin{bmatrix}
6 & 18 & 14 & 18 & 0 \\
0 & 10 & 6 & 8 & 0 \\
0 & 14 & 10 & 14 & 0 \\
0 & 14 & 8 & 16 & 0 \\
4 & 10 & 8 & 10 & 2
\end{bmatrix} \begin{bmatrix} 1/4 \\ 1/4 \\ 1/4 \\ 1/4 \\ 0 \end{bmatrix}
= \begin{bmatrix} 14 \\ 6 \\ 19/2 \\ 19/2 \\ 8 \end{bmatrix}
$$

計算の結果、期待値は8 となります。
つまり、UUD が的中するまでの試行回数の期待値は 8 です。

予想値が UDU の場合

$$
\boldsymbol{A} = \begin{bmatrix}
1/2 & 0 & 1/2 & 0 & 0 \\
1/2 & 0 & 1/2 & 0 & 0 \\
0 & 0 & 0 & 1/2 & 0 & \\
0 & 1/2 & 0 & 1/2 & 0 & \\
0 & 1/2 & 0 & 0 & 0 \\
\end{bmatrix}
$$

$$
\boldsymbol{T}(\infty) = \begin{bmatrix}
20 & 12 & 18 & 22 & 0 \\
18 & 14 & 18 & 22 & 0 \\
12 & 10 & 14 & 18 & 0 \\
22 & 18 & 22 & 32 & 0 \\
10 & 8 & 10 & 12 & 2
\end{bmatrix} \begin{bmatrix} 1/4 \\ 1/4 \\ 1/4 \\ 1/4 \\ 0 \end{bmatrix}
= \begin{bmatrix} 18 \\ 18 \\ 27/2 \\ 47/2 \\ 10 \end{bmatrix}
$$

計算の結果、期待値は10 となります。
つまり、UDU が的中するまでの試行回数の期待値は 10 です。

まとめ

スリーヒットダイスは、ディーラーが振る3つのダイスの出目を予想するシンプルながら奥深いゲームです。
確率上はどの組み合わせも同じように見えますが、実際には「2個+1個」の組み合わせの方が有利であることが分かりました。

この違いの理由は、「先に出現する確率」にあります。
期待値を考慮すると、UUUのような3連続のパターンよりも、UUDのように異なる出目を含む方が早く成立しやすいのです。

確率計算や期待値の考え方を活用すれば、ギャンブルやゲームの戦略をより深く理解することができます。
スリーヒットダイスのようなシンプルなルールでも、奥深い数学的要素が隠れているのは興味深いですね。

この記事が参考になれば幸いです。
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